<剣道形

二本目(小太刀)---順---

打太刀下段、仕太刀中段半身の構え
間合いに接したとき
打太刀は中段になろうとし、仕太刀は入身になろうとする
打太刀が脇構えにひらくのを仕太刀は入身になって攻める
打太刀は諸手左上段から仕太刀の正面に打ち込む
仕太刀は打太刀の刀を受け流し
打太刀の面を打つ
二の腕を押さえ、剣道を咽喉につけて残心を示す
打太刀は右足から相中段になりながら
抜き合わせた位置に戻る

---解説---
 打太刀は下段、仕太刀は中段半身を構えで、互いに右足から進み間合いに接したとき、打太刀は守る意味で、下段から中段になろうとする瞬間、仕太刀は、打太刀の刀を制して入身になろうとするので、打太刀は、右足を後ろにひいて脇構えにひらくのを、すかさず、仕太刀が、再び中段で入身になって攻めてくるので、打太刀は脇構えから変化して諸手左上段に振りかぶり、右足を踏み出すと同時に仕太刀の正面に打ち込む。
 仕太刀は左足を左斜め前に、右足をその後ろに進めて、体を左にひらくと同時に右手を頭上に上げ、刃先を後ろにし、みぎ鎬で受け流して面を打ち、仕太刀の二の腕を押えて腕の自由を制すると同時に、右拳を右腰にとり、刃先を右斜め下に向け剣先を咽喉部につけて残心を示す。
 その後、打太刀は左足から、仕太刀は右足から相中段になりながら刀を抜き合わせた位置に戻る。

---理合 ---
 打太刀は下段、仕太刀は中段半身を構えで、互いに右足から進み、間合いに入るや打太刀あ下段から中段になろうとする瞬間、仕太刀は打太刀の刀を制して入身になろうとする。そこで、打太刀は後ろにひいて脇構えにひらく。仕太刀はすかさずさらに入身になろうとするので、打太刀は脇構えからふりかぶって、「ヤ!」のかけ声で仕太刀の正面を打つ。仕太刀は体を左に転じて受け流すや、「ド!」のかけ声で面を打ち、仕太刀の右ひじ上を制して剣先を咽喉につけ残心を示す。この形を「行の形」ともいう。いったんとらえて、その後、完全に勝つのである。


三本目(小太刀)---順---

打太刀中段、仕太刀下段半身の構え
打ちは仕太刀の正面に打ち下ろす
仕太刀はその刀をすりあげ
すり落とす
打太刀は右道を打つ
仕太刀は打太刀の刀をすり流し
打太刀の鍔元にすり込み二の腕を押さえる
仕太刀はそのまま攻めて
三歩進み剣先を咽喉につけて残心を示す
仕太刀は左足から相中段になりながら
刀を抜き合わせた位置に戻る

---解説---
 打太刀中段、仕太刀下段半身の構えて、打太刀は立会の間合いから、右足、左足と進み、次の右足を踏み出すとき、仕太刀が入身になろうとするのを中段から諸手右上段に振りかぶって、仕太刀の正面に打ち下ろす。仕太刀は、その刀をいったんすりあげて打太刀の右斜めにすり落とす。
 仕太刀は、直ちに左足を踏み出し、仕太刀の右胴を打つ。仕太刀は左足を左斜め前に踏み出し、体を右にひらくと同時に、胴に打ってくる打太刀の刀を、左鎬ですり流し、そのまま左鎬で、打太刀の鍔元にすり込み、小太刀の刃部の鎺(はばき)で打太刀の鍔元を押えて、入身になり、打太刀の二の腕を押さえる。
 打太刀がひくので、仕太刀はそのまま攻めて、三歩進み右拳を右腰にとり、刃先を右斜め下に向けて、剣先を咽喉につけて残心を示す。そのあと、打太刀は右足から仕太刀は左足から相中段になりながら、刀を抜き合わせた位置に戻る。
 この場合、小太刀の形が終わるので、蹲踞して互いに刀を納めて立会の間合いに帰り、立礼をして終わる。

---理合---
 打太刀中段、仕太刀下段半身の構えで互いに進み、仕太刀が入身になろうとするのを、打太刀は「ヤ!」のかけ声で正面に打ち下ろす。仕太刀は、その刀をいったんすりあげてからすり落とす。打太刀が、ただちに右道をうつので、仕太刀はさらにすり流し、「ド!」のかけ声で打太刀の鍔もとにすり込み、刀を押えて二の腕を制して三歩進んでから残心を示す。
 この形を草の形」ともいう。相手に充分働き尽きさせてから勝ちを制するのである。